なぜ電撃は勝ち、富士見は負けたのか
「なぜ電撃は勝ち、富士見は負けたのか」への突っ込み
なぜ電撃は勝ち、富士見は負けたのか? 〜個人的見解〜
(本当は少し前に書いたのだけど、どうせならGW中ネタが無い時に出そう、という事で明らかに時流に乗り遅れている仕様です)
実数としては分からないが、現在、ライトノベルの代名詞が「電撃文庫」なのは事実である。本来、ライトノベルの先駆者であった富士見は、なぜ後発の電撃に追い抜かれたのか。上に挙げた分析はどれも納得のいくものである。
だが、一つ欠けているように思う。この問題が語られる時いつも話題にならないものの、しかし決定的な差異が電撃と富士見の間にはあるのである。
もっとも話題にならないのは当然かもしれない。その差異は業界の裏側の話であり、一般の読者には見えない部分だからだ。
さて、もったいぶってもしょうがないので、端的に言ってしまえば、それは「営業部」の有無である。
電撃文庫のメディアワークスは、独自の「営業部」を持っているのである。
本の「営業」、といってもピンと来ないかも知れない。私も実際に本屋に入るまで、出版社と言ったら編集のイメージしか無かった。しかしこの「営業」さん、とっても重要なのである。
例えば。新刊が出た時、予想以上に売れている。こんな時、重版をかけるかどうかを決定するのは、営業のお仕事である。ライトノベルは新刊最初の一ヶ月が命。この時、切れてしまっていた為、売り伸びなかった作品と言うのは結構あると思う。迅速な判断は有能な営業の条件。
例えば。凄く売れている本というのは、全国から送られてくるPOSデータを見れば分かる。しかし徐々に売れ始めている、これから来そう、等の感触はマクロの視点では分かりづらい。全国の本屋さんを巡って、現場で起きている事実をかき集めるのだって営業さんのお仕事。そういう事を汲み上げて、編集部に伝られるのが有能な営業の条件。
つまりマーケティングとフィードバック。作家さん・編集さんが実戦要員だとするならば、営業さんは基本戦略の策定をする幕僚のような存在。といえば、その重要性が分かるだろうか?
では、そんな重要な営業部が、なぜ電撃にあって、富士見には無いのか。
それは成立の過程に差があるためで、富士見を責めるのはちょっと可哀想である。
電撃のメディアワークスは、元々お家騒動で分裂してできた所で(詳細はぐぐればどっかにある。よって割愛)角川グループ傘下ではあるが、独立した一出版社という位置づけ。だから独自の営業部を持っている。
対して、富士見は、名前こそ独立出版社のようだが、去年分社化するまでは、正確には「角川書店富士見事業部」だった。角川書店の一部だったのである。よって富士見書房の本の営業は、角川書店の営業さんが一緒にやっている。
さて。前にも言ったけど、ライトノベルは特殊な商材である。ここでは一般文芸の知識は通用しない、独自の専門知識が必要だ。書店員として話していれば分かるけど、メディアワークスの専門の営業さんと、角川書店の片手間の営業さんでは、やはりライトノベルへの知識量が決定的に違う(ま、角川書店の営業さんでも個人的に詳しい人はいるんですが)。
これで差が出ない訳がないと思うのだ。電撃は時代にマッチしたから売れた、というが、その時代を読み取った背景には、きっと営業さんの力があるはずである。
良い本を作れば、売れる。それは幻想だ。
良い本だって、売る努力をしなければ売れない。それが現実だ。
出版社と書店をつなぐ営業さん。彼らだってライトノベルの立役者なのである。今度本を読む時は、ちょっと思いを馳せてあげて欲しい。



コメント (2)
既出ですが
どちらも角川なので。
投稿者: れんや | 2006年05月08日 13:28
日時: 2006年05月08日 13:28
まあ、今では同じ「角川」グループなんですけどね。ちなみに、エンターブレインも元々別の出版社だったので、営業局を持っています。
投稿者: ゐんど | 2006年05月09日 10:50
日時: 2006年05月09日 10:50