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「越境」するライトノベル:第一章

第一章:「ライトノベル=文庫」というカタチの終焉

 かつてライトノベルという言葉が無かった頃(正確には一般化していなかった頃か)、それらは富士見ファンタジア文庫のことであり、電撃文庫の事であった。あるいはコバルトを始めとする少女小説群であった。それらは「ティーンズ文庫」という名前で括られ(私はこの名称が嫌いだ。なぜなら、読んでいる私がティーンズなんて時期を全力投球で放り投げた年齢だから)、文庫売り場の片隅でひっそりと息づいていた。
 これらの文庫は、最初はハードカバー四六判で出し、数年後に文庫化する、という「一般」の小説サイクルと違い、書き下ろしを中心(というか99%以上)として最初から文庫として登場する。それは間違い無く、メインターゲットたる中高生が買えるように、という配慮だ。実際、貧乏だった当時高校生の私は、昼食代500円を貰うと、パン一個と飲み物一つで我慢し、本代を捻出していた。これで二日に一冊本が買える。当時は500円=一文庫、700円=一ノベルスという価値観の中で生きていたものだ。今はもうちょっと物価が上がったけど。学生さんも大変だ。
 閑話休題。
 ゆえに「ライトノベル=文庫」というイメージは未だ根強い。ま、事実大半は文庫だし。そんな環境で登場したのが、
 

4061821350殺竜事件―a case of dragonslayer
上遠野 浩平
講談社 2000-06

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 当時の(というか現在もだが)電撃の看板作家・上遠野浩平が講談社ノベルスで書く、と聞いた時は衝撃だった。そうして登場した本書は、イラストに悪魔絵師ことアトラスの金子一馬を起用して、ライトノベルの方法論を用いていた。また、コミックスの様に作家の囲い込みが通例だったラノべにおいて、レーベルの「越境」をした例としても本書は記憶されるべきだろう。
 もっともノベルスに於けるライトノベルと言えば、中公のCノベルス・ファンタジアが先駆であったと言うべきかも知れない(下は代表作「デルフィニア戦記」。Amazonでは一巻の書影が無かったので、二巻で代用。一巻の発売は1993-10)。ただ、これは今は亡き大陸書房のノベルスを引き継いだという流れなので、更にそこへ源流を辿るべきなのだが…申し訳ないが、流石に倒産したこともあって資料が揃わない。勘弁していただきたい。

4125002657黄金の戦女神
茅田 砂胡
中央公論社 1993-11

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 ともあれ、「殺竜事件」が、ライトノベルにとって事件だったのは確かな事だと思うのだ。ただ、この「越境」はノベルス読者に上遠野浩平という一作家を紹介するに終わり、ライトノベル全体にまで波及はしなかったのだが…そんな文脈の中で登場するのが「戯言」だと思うのである。

4061822330クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い
西尾 維新
講談社 2002-02

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 「戯言」シリーズは、2005年の「このライトノベルがすごい!」で二位に選ばれた。つまりノベルスであるにも関わらず、ラノべと多くの読者に認識されていたのである。「戯言が文庫だったら一位だったかも知れない」という意見も見かけたが、それはありえる話だ。逆に、そう言われるまでに、「ライトノベル=文庫」という図式は崩壊が進んでいたのだ。
 そしてその流れは、ノベルスだけに止まらなかった。ライトノベルは一般文芸の十八番、四六判ハードカバーの世界へと雪崩れ込んでいくのである。

 と、第一章が予定より長くなりそうなので、後編は独立させて第二章とする事にした。

 次回「第二章:ラノべは直木賞の夢を見るか?」に続く、予定

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http://novel.no-blog.jp/minkan/2005/10/post_884b.html 後ほど何か書く予定。 [詳しくはこちら]

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http://novel.no-blog.jp/minkan/2005/10/post_884b.html う〜ん、イマイチ賛同しかねるような……。 新書(ノベルス)と文庫を比較して「越境」を語っているようですが、自分のイメージだと(1980年代前半に出た((原型プロットとなった『銀河のチェス・ゲーム』は70年後半?)))『銀河英雄伝説』が新書の名作として燦然と輝いているので、別に「上遠野浩平」の『殺竜事件』(ISBN:4061821350)がターニングポイントになっているとは全く感じないんで... [詳しくはこちら]

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コメント (3)

dominoさんのところの記事紹介から飛んできました。
自分もライトノベルに関してちょっとあったので書いてみましたのでトラバさせていただきました次第です。
しかし、偉そうな文章になってしまい軽く焦ってます、批判されないか不安だ。(^^;

ゐんど:

TBありがとうございます。
なにぶん、独断と偏見で書いている物なので、他の人の意見は参考になります。
偉そうな文章に関しては、私の方も人後に墜ちませんので!(笑)

Cノベルスからデル戦とはいいチョイス。
だけれどデル戦をラノベと素直に頷けない自分がいる。
イラストの問題でなく、内容がギリギリラノベの範囲外な気が・・・。

まあデル戦、スカウィ以降の茅タンの腐女子っぷりを鑑みると、作者的に作品全体がラノベ視されるのもしかたないかと自己満足の納得と了解。

自分のブログで取り上げてるヒマがないので、
またもや応援カキコ。

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